論理思考力


ロジカルシンキングの2つの構成要素の一方である「論理思考力」とは、端的に言えば、『思考のストーリーを繋ぐスキル』である。

これは【縦の論理】と【横の論理】を理解することで身につけることができる。

それぞれについて、具体的に説明して行こう。


まずは【縦の論理】から


【縦の論理】について

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【縦の論理】とは、図の通り「話が直列につながった状態」を意味しており、これが欠けていると、話を聞いている側は「本当にそうなの?」と感じることになる。

すなわち、論理に飛躍があるというは、この【縦の論理】が成立していないことを意味しており、人を説得する上では欠かすことのできない重要な要素といえる。


【縦の論理】を成立させる秘訣は簡単である。

それは何かを考える上で「論理の最小単位」を常に意識することである。

話をAからBに移行させるとき、その流れがどんな人間が聞いても納得できる内容になっていれば、その話の流れは「論理の最小単位」であると言える。

 

例えば…

「A:気温が上がった」ならば「B:熱くなった」

「A:給料をもらった」ならば「B:財産が増えた」

「A:誕生日になった」ならば「B:年を取った」 etc...

 

例を挙げていけばキリがない。

基本的に特殊な条件でもない限り、どんなバックグラウンド(常識)を持った人間が聞いても成立する話の展開を「論理の最小単位」と呼ぶ。

 

【縦の論理】を徹底するためには、この「論理の最小単位」ごとに思考を展開していけばいい。そうすれば、論理の飛躍がなく、誰が聞いても絶対に理解可能な内容となる。

 

これは、実に当たり前のことではあるが、意外にも常に徹底することは難しい。

 

ここで一つ例を挙げよう。

「A:交通渋滞になった」ならば「B:ルートを変更した」

 

一見これは【縦の論理】が成立しているように思うかもしれない。

しかし、ここには幾つもの論理の飛躍がある。

 

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上に示した通り、「A:交通渋滞になった」ならば「B:ルートを変更した」の間には、まだたくさんの論理が隠れていたことはお分かりだろう。

 

すなわち「A:交通渋滞になった」ならば「B:ルートを変更した」は「論理の最小単位」ではなかった。

この話の流れには飛躍が含まれていた。

一般常識に従えば、この話の流れに異論を持つ人はいまい。

しかし、相手が子供であったら?

車のない社会で生活している人間であったら?

 

上記のような例は極端かもしれないが、一見当たり前のことを論じていると考えても、受け手の常識が異なる場合、伝わらないことは多い。

それが「論理の最小単位」でない限り、場合によってはコミュニケーションロスが生まれ得る。

だから【縦の論理】を意識し、必ず「論理の最小単位」で物を考えるように心掛ける必要がある。

 

特に、ビジネスの場で多いのは、話し手側は常識と考えて話をしていても、受け手側がその常識を認識していないために話が通じないという場面である。

その他にも、異質なものを同質化して考えてしまったり、偶然の事象を必然化して話を進めてしまったりと、論理を飛躍させる原因はそこら中に息をひそめている。

 

これら論理の障害を取り除きたいのならば、「最小単位」で話を進めていけばいい。

まずは、あなたの考えの前提部分を疑うことから始めよう。

 

勿論、最初から「論理の最小単位」で説明を進めていかなければいけない、というわけではない。

しかし、事前に頭の中に「論理の最小単位」で思考を展開しておき、必要あらばその「最小単位」で話の流れを説明できるように準備しておくことは、論理的な説得において必須と考える。 

 

自分の常識に捕らわれていては気が付くことのできない、意外なところに論理の飛躍は潜んでいる。

その飛躍を見落としてしまうがために、コミュニケーション上のロスが生じる。

 

このメカニズムをきちんと理解しておくこと。

それはロジカルシンキングの第一歩である。

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【横の論理】について


【横の論理】とは、図の通り「話が並列につながった状態」を意味しており、これが欠けていると、話を聞いている側は「それだけなの?」と感じることになる。

すなわち、話に抜けている箇所があるというのは、この【横の論理】が成立していないことを意味しており、慎重な分析には欠かしてはならない要素である。


【横の論理】を徹底するためには、次の2つを意識すればいい。


① レベル感をそろえる

② MECEにする


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逆にこれらを意識しなければ、あなたの論理は「全体がカバーできておらず、ズレ・漏れ・ダブリがある状態」になってしまうだろう。

つまり、それでは人を説得することなどできない。

 

まず、①の「レベル感をそろえる」から説明していこう。

 

①「レベル感をそろえる」

これを理解してもらうために、次の例を示したい。

この例を見た時、きっと誰もが違和感を感じることだろう。

「魚」について示された要素がむちゃくちゃで、一体、何を示したいのかが分からない。

この例の致命的なところ、それは「レベル感がズレている」ことである。


上記は極端な例だが、類似したようなことはビジネスの領域でも頻繁に起きている。


話を並列につなげる時、常に意識しなければならないことは要素のレベル感

具体的には、


・視点の違い

 それは、だれの眼から見た要素なのか。

・切り口の違い

 それは、どういう場面における要素なのか。


これらに注視することで、論理の要素の「レベル感をそろえる」ことができる。
【横の論理】を成立させる上で、このステップは絶対に無視することはできない。


② MECEにする

まずMECEとは何かから説明していきたい。

Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略。日本語では「ミーシー」と読む。

これはすなわち「漏れ・ダブりのない状態」を意味しており、経営学的な領域などにおいて、国内外問わずよく使われる。


このMECEという概念を理解するために、まず下の図を見てほしい。


ある集合を2つにグルーピングするというモデルケースを想定した時、正しくグループ分けが行えていない状況を左下に示した。

この図を見れば分かる通り、本来のグループにカテゴライズされるべき要素が抜けてしまっている。これを「漏れのある状態」という。また、、両方のグループに属している要素もある。これを「ダブりのある状態」という。


これらが正しく行われている、すなわち「漏れ・ダブりのない状態」。

これが右下に示したMECEである。


このMECEの概念を利用することにより、全体像を正しく把握することができる。

逆に、主張をMECEにできていなければ、その信憑性は損なわれてしまう。


では、いかにしてMECEにするか。

それは「軸を使う」ことである。

ここでいうとは、物事を考える上での切り口である。


【MECEにするための軸】

①順序:時間(過去・現在・未来)、序列(高・中・低) etc...

②性質:性別、年齢、内外  etc...

③構成:経済資源(人・物・金)、季節(春・夏・秋・冬)、地域(東・西・南・北)etc..

④フレームワーク:環境分析の3C、マーケティングの5P  etc...


上記はあくまでも一例だが、このような軸を用いて、全体を網羅して物事を考える。

これがMECEを徹底する上で、一番のキーポイントである。


ただし、目的によって、どの軸を使用するのかは十分に吟味しなければならない。

複数の軸を織り交ぜて考えると、思考を混乱させてしまい、結果的に「漏れ・ダブりのある状態」を作り出してしまう原因ともなる。


このMECEは【横の論理】を徹底する上で必要不可欠な考え方であり、ロジカルシンキングの基盤ともなる概念なので、きちんと頭に定着させてほしい。



以上が【横の論理】の概要と、その成立プロセスになる。

このメカニズムを理解して、腹の底に落とし込むこと。

これはロジカルシンキングの重要な2歩目である。

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【縦の論理】【横の論理】についてはご理解いただけただろうか?


ロジカルシンキングを行う上では、これら【縦の論理】と【横の論理】を組み合わせ、論理の《ピラミッドストラクチャー》を作り上げる。

これが論理思考力の最終形である。


この《ピラミッドストラクチャー》こそ、ロジカルシンキングの中心に位置する概念であり、どんな考えも必ず、この論理構造に落とし込むことができる。

適切に落とし込むことが出来れば、その考えは「ロジック」に問題のない、論理的な思考のアウトプットであると見なせる。

逆に言えば、あなたの考えを、この《ピラミッドストラクチャー》に落とし込もうとすることで、その考えの論理的な欠陥を見つけることができる

これこそが論理思考力の原理原則である。

 

この《ピラミッドストラクチャー》については次のリンクページにて、詳細に取り扱う。

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こちらも重要な章ではあるが、あくまでも【縦の論理】【横の論理】がベースであり、これら2つの論理を定着させていれば、自然と行うことができる内容を述べている。


何よりもまず【縦の論理】【横の論理】が成立した思考を徹底できるようになること。

これがあなたの人生を革新する最大の近道である。


このページで学んだことを定着させるために

・一日に一度、【縦の論理】と【横の論理】についておさらいしてみよう。

・自分の考えを「論理の最小単位」に分解して考えてみよう。

・自分の考えについて「レベル感がそろっている」か考えてみよう。

・ある集合について「MECEにする」ケーススタディを考えてみよう。

・自分なりの「MECEにするための軸」を考え出してみよう。

・【縦の論理】と【横の論理】を組み合わせて《ピラミッドストラクチャー》を構築してみよう。

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