アイデア・ミックスとは



創造とは何か。

これは、すなわち新しい「組み合わせ」を作ることと言っても過言ではない。


「創造とは、経験や記憶の組み合わせや結びつきを変えて、アウトプットすること」

 

これは脳科学者 茂木健一郎の言葉だが「創造」の本質を的確に言い表していると思う。

 

この世にないものを零から作り出す。

0⇒1

それには非常に労力が必要であり、困難を極める。

 

アイデア同士をミックスさせ

1+1=10

この図式を生み出すこと。

これが最も効率的な創造のあり方である。

 

このアイデア・ミックスによって、議論の中に挙がっているアイデアの「質」や「量」を飛躍的に向上させることができる。

アイデア・ミックスは魔法である。

何にも捕らわれない自由なアイデアを生み出すために欠かすことのできない、クリエイティブシンキングの重要な要素の一つである。

一般的に、数々のアイデアが並べられた、ブレインストーミングの中盤から終盤にかけて活用されるべき手法と言われている。

 

しかし、これは決して容易な手法ではない。

闇雲にやるべきではない。

アイデア同士を結合させてたとしても、大抵のことは既に誰かが思いついているし、仮にまだ世にない組み合わせだとしても、それらが適切に相乗効果を生み出さなければ、それは決して良いアイデア・ミックスとは言えない。

 

はっきり言う。

アイデア・ミックスにはコツがいる。

要点を得なければ、効果的なアイデア・ミックスは実現が難しい。

逆にコツをマスターすれば、あなたの「1+1」は、「100」にも「7000」にもなるに違いない。

 

ここでは、アイデア・ミックスを実践するコツについて述べたいと思う。

 

アイデア・ミックスのコツ

(a) 要素分解

(b) 強制結合

(c) シナジー構築

 

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(a) 要素分解

アイデア・ミックスの1つ目のコツは、これまでに出たアイデアの中で優れているものをいくつかピックアップし、それらを要素に分解して並べてみるという方法である。

 

分解した要素をマトリックスにして並べ、それら要素を全く違う形で組み合わせて再構築し、アイデアのキメラ(合成獣)を作るのである。

 

要素に分解する切り口はいくつもあるが、その中で代表的なものを下記に挙げる。

 

 ①名詞的要素(名詞で表現される部分)

 ②形容詞的要素(形容で表現される部分)

 ③動詞的要素(動詞で表現される部分)

 

上記の切り口で、アイデアを要素分解すれば、大抵の場合、効果的なアイデア・ミックスを実践することができる。

 

ここで一つ具体例を挙げて説明しよう。

 

--《要素分解の具体例》-------------

新入社員A君は今度の忘年会で、同期と共に”出し物”をしなければならなかった。

部長や先輩社員からのプレッシャーもあり、なるべく目新しい、斬新な”出し物”を準備したいと考えていたが、同期達と話し合って出たアイデアは、次のような月並みなものであった。

 

・モノマネ

・ダンス

・手品

 

けれども、諦めきれないA君は、これらアイデアを要素分解することで、より良いものにできないか再考してみることにした。

次が、各アイデアを要素分解し、マトリックス化した図である。

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この分解した要素の中から、A君は特に気になったものをハイライトした。

「なるべく上司との距離を縮めたい」

「打ち解けた関係を作り出すために、楽しい雰囲気で上司たちに喜んでもらえるような出し物がしたい」

そう考え、なるべく『面白い』や『笑わせる』という要素を中心に据えておきたかった。


この時、直感的に選ぶのもいいが、A君のように目的のテーマ(今回は『上司と距離を縮めるための忘年会の”出し物”』)に相応しい要素を選ぶように心掛けよう。

また、切り口それぞれについて、まんべんなくチョイスするのが理想的だ。

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そして、A君はハイライトした要素同士を組み合わせ、アイデアを再構築することにした。

このステップは難しいが、どうしても形にならなければ、ピックアップする要素を変え、適切な再構築の形を探る。

この時も、個人で考えるのではなく、グループで知恵を絞り合うのが理想的である。


そして最終的に、A君が行き着いた”出し物”のアイデアは

「上司の似顔絵を描いた腹踊り」

を披露することであった。


あまりに馬鹿馬鹿しいアイデアではあったが、今の時代には新鮮で、進んで恥を捨てて芸に取り組むA君たち姿勢は、上司たちから大いに評価された。

A君たちの企画する忘年会は、大盛況のうちに幕を閉めた。

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上記は、要素分解を活用したフィクションである。

この例からも分かる通り、何かアイデアとアイデアを結び付けたいと考えるならば、まずそれらを要素に分解することが重要である。

この要素分解の手法は、アイデアの統合を簡単にするし、自分たちがどういう目的で新しいアイデアを作り出したいのか、それを再考させてくれる。

より目的に叶ったアイデアを作り出すための有効な手段である。

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(b) 強制結合

アイデア・ミックスの2つ目のコツは、これまでに出たアイデアの中から、常識的に考えれば結びつくことのないアイデア同士を強制的に結合させてしまうというものである。


理想的には、カードがあればいい。

無論、紙とペン、あるいはホワイトボードがあれば誰にでも実践できる手法である。



《強制結合のプロセス》


① まずはこれまでに出たアイデアをカードや紙に書き出す。


② それらを並べて眺めてみる。


③ その中から「一番現実的なアイデア」を一つ選ぶ。


④ その中から「一番現実的なアイデア」を一つ選ぶ。


⑤ 上の2つを強制的に結合して、新しいアイデアにする。

⑥ もし⑤で良いアイデアが生まれなければ、次の⑦~⑪に従う。


⑦ アイデアを「現実的なアイデア」と「現実的なアイデア」のグループに分ける。


⑧ この2つのアイデアのグループのカードを裏返しにして、2つの山にする。


⑨ 2つのカードの山をよく切り、それぞれの山からカードを1枚ずつ出し合う。


⑩ その2つのアイデアを強制的に結合させてみる。


⑪ 良いアイデアが生まれるまで、⑦~⑩を繰り返し実施する。


強制結合は、まだ世にない非常識な発想を行うために、極めて有用な手法である。

しかし、そのアイデア同士を無理矢理結合させるのは難易度が高い。

要素分解と併用して実施することを推奨する。

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(c) シナジー構築

アイデア・ミックスの3つ目のコツは、結びつけるアイデア同士がシナジー(相乗効果)を生み出すようにミックスするというものである。

 

アイデアを結び付けて新しいアイデアを生み出すとき

それらがお互いに足を引っ張り合ってしまっては意味がない。


材料となったアイデア同士が相乗効果を生むか否かは最も重要なポイントである。


むしろ、こちらは手法というよりもマインドに近い。

どういう観点から物事を見れば、シナジーを生むアイデア同士を結び付けられるか、その視点をここでは述べたいと思う。

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【シナジー構築の視点】


・各アイデアの長所短所の明確化しているか?

・アイデアAの短所を、アイデアBは補うか?

・アイデアBの短所を、アイデアAは補うか?

・アイデアABの長所は「掛け算」になっているか?

・もし相互関係が不十分な場合、アイデアCを入れたらどうなるか?

・要素分解の手法により、短所をなくし、長所を高めるミックスができないか?

・強制結合で組み合わせたアイデアは、相乗効果を生み出しているか?


何よりも重要なのは、アイデア同士が「足し算」ではなく「掛け算」の図式を作り出すことである。

これはすなわち、「1+1」が「10」になるアイデア・ミックスの魔法の本質である。


上記の【シナジー構築の視点】は、アイデア・ミックスを行うとき、必ず持っておかなければいけないマインドだ。

これを持った上で、「要素分解」や「強制結合」の手法を活用してほしい。


言葉で言うほど、実践は簡単ではない。

しかし、これらを定着させれば、あなたもこの世にまだ存在しない画期的な「何か」を作り出せるだろう。

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このページで学んだことを定着させるために

・アイデア・ミックスは現代の想像の本質であることを十分に理解しよう。

・アイデア・ミックスの3つのコツを繰り返し復習しよう。

・「要素分解」の手法を一週間以内に一度実践してみよう。

・「強制結合」の手法を一週間以内に一度実践してみよう。

・それらを実践する際には「シナジー構築」の視点を必ず頭に入れておこう。

・自分のアイデア・ミックスによって「1+1」がどれくらいになったのか、振り返って評価してみよう。

・さらにその評価を上げるためにはどうすれば良かったか、もう一度考えてみよう。

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